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- 名称:モバイルシステムGB(モバイルアダプタGB)
- サービス開始日:2001年1月27日
- サービス終了日:2002年12月14日
- 対応ハードウェア:ゲームボーイカラー/ゲームボーイアドバンス
- モバイルシステムGB – 任天堂大辞典
解説
ネットワークを利用したきょうとの実験第4段である。携帯電話という小型ネットワーク端末の普及により、任天堂のネットワークを利用したゲームの実験の魔の手は据置機にとどまらず、携帯機にまで及んだのである(この数年前にサテラGBの企画があったのは気にしない)。
このネットワーク計画は、今までの計画より遥かに力を入れているように見えた。モバイルシステム用のソフトを作るため、2つもの子会社を設立したのである。任天堂が直接やらないために作られたランドネットとは気合の入れ方が違った。さらには、モバイル機能を内蔵したゲームボーイの開発も行われていた。
しかしながら、計画は頓挫してしまう。最も勢いのあったハード、ゲームボーイアドバンスを利用したネットワークサービスがなぜ破綻したのだろうか?
原因
原因はいたって簡単である。ヒットするほどユーザーを挽きつけるソフトが出なかったのだ。
というと、身も蓋もない。なぜソフトが出なかったのだろう?
モバイルシステムが最初にキラータイトルとして選んだのはポケットモンスター クリスタルである。同バージョンは値崩れしたとはいえ210万本の出荷が行われた大ヒットタイトルだった。
しかしながら、ユーザーは全くフィードバックされなかったと言っていい。
ポケットモンスター クリスタルでモバイルシステムを利用して出来ることは下記のようなことである。
- ニュース(ランキングなど)
- バトルタワー
- 預ける事による交換
- P2Pによる対戦
- バトル記録の配信(ポケスタ金銀を要する)
項目の解説の前に、上記の要素は全て プラチナに収録されていることを記しておかなければならない。
逆に言うならば、プラチナに至ってやっとクリスタルの全要素を再現できたということである。
ニュースの閲覧が100円/月、その他は一回10円ぐらいだったと思う。やはり、この中でメインとなるのはバトルタワーと、交換であろう。しかしながら、この二者はどちらも仕様的に酷いものになっていた。
まず、バトルタワーであるがダイヤモンド・パール以降のWi-Fiバトルタワーの様なものが実装されていると思って欲しい。そう、初心者お断りでレベルが高すぎるのだ。
更にデバッグをきちんとやっていなかったのか「改造ポケモン素通り」状態だったのだから、話にもならない。大抵のユーザーは楽しいと思う以前に去っていってしまう。
次に交換なのだが、ダイヤモンド・パール以降に実装されたGTSの預けだけが出来るバージョンだと思って欲しい。「欲しいポケモンを選択してポケモンを預ける」マッチングされた場合のみ交換が成立する……これは母ユーザー数が1万しかないのだから殆どマッチングしないと言っていいだろう。GTSを見れば分かるように俺のザコポケモンとお前の伝説のポケモンを交換してくれ!と言うのが交換希望の殆どなのだ。これはメーカーばかりの責任とは言えない、ユーザーの意識が低すぎるのである。
しかし、例えば交換希望を書く掲示板があるならまだしも、それすらないために交換したいと思っても、どのポケモンが欲しがられているのかすら分からないのでは交換が成立するはずがないのだ。その点は手落ちと言わざるを得ない。
なお、交換が成立しなくても料金は掛かったように記憶している。
こうして、モバイルの楽しさを伝えることは出来ないまま、初期にヒットタイトルを投入して一気に盛り上げると言う作戦は失敗に終わった。
この後はもうじり貧である。当時もっとも勢いのあったソフトであるポケットモンスターが盛り上げることの出来ないネットワークサービスを盛り上げるすべなど存在しなかった。
いくつかのソフトを任天堂はモバイルシステム対応で開発するものの、立ち上げた二社の内モバイル21は殆どコナミのソフトの開発に回り、任天堂から発売されたハッピィパネッチュはモバイルシステムとは何の関係もないソフト、エヌディーキューブに至ってはモバイルシステム対応のソフトを一本も開発しないまま、わずか2年でサービスは終了してしまった。
実験結果
この結果から任天堂はおそらく「有料のネットワークサービスは流行らない」と言うことと、「ネットワーク接続に携帯電話を使用するのは料金体系や接続を難しくするだけで愚策」と言うことを学んだのだろう。実際、アメリカでモバイルシステムが開始されなかったのは通信方式が30種類以上有ってとても対応できないという理由を当時の岩田担当が語っていた。
モバイルシステムGBの終了から3年、任天堂はニンテンドーWi-Fiコネクションと言うネットワークサービスNINTENDO DSを対象に開始する。
これは「カンタン・あんしん・無料」を売りにした無料で接続でき、簡単に設定できる(店頭のDSステーションならば設定自体不要である)ネットワークサービスであった。
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