DQ9で感じるゲームの地方格差

ここで言う地域間には本土から輸送に数日かかる離島を含んでいません、あしからず。

アニメ、マンガ、特撮、ゲームと所謂オタク趣味と呼ばれる物があるが、ゲームは極一部の例外を除いてはマンガと並んで地方格差が少ない趣味であった。

それはゲームが素晴らしいと言うわけではない。単純にテレビ放送に問題があるだけである。ローカルな話題となるが、2009年7月現在に富山県のテレビ局が放送している特撮番組は

  • 炎神戦隊ゴーオンジャー

のみである。シンケンジャーではない、ゴーオンジャーである。仮面ライダーディケイドは当然、レスキューフォース系も入らない。

それと比較するなら、発売日には少なくとも予約しておけば必ず買うことが出来るゲームという趣味は地域間格差が全くないと言っても良い。

一部の例外と言うのはゲームボーイで発売された初代ポケットモンスターのミュウの配布や、当初東京にしかなかったという64DDのアクセスポイントである。

セレビィはモバイルシステムで配信され、ゲームボーイアドバンスの幻は映画前売り券で配布、DSの幻は映画館で配布されているのでミュウのみ地方間格差があったことになる。

此程の差がある呼び込み結果

さて、ドラゴンクエストIXには「宿屋への客の呼び込み」と言う名目で、他のDQ9との間のすれ違い通信に対応している。

すれ違うことで自分の世界の宿屋に他の世界の主人公が客としてやってくる。この際に簡単なプロフィールと一言コメントも送ることが出来る。

このすれ違い通信を「よびこみ」と言う名目でゲーム中に上手く取り入れることが出来るのは堀井雄二の才能だよなあ。「冒険の書」とか「復活の呪文」とか……ポケモンはこの辺もっと見習うべきだと思う。

フレンドリィショップで受け取る伝説のポケモンって……

筆者でもある管理人が体験した場所毎の呼び込みの成果は下記の通り

  • 富山最大のショッピングモール:0人/1時間
  • 東西線沿線千葉県:3人/30分
  • 山手線圏内:3人/10分程度
  • 池袋:3人/数分
  • 秋葉原電気街:3人/1分程度
  • 秋葉原ヨドバシ:3人/1分程度
  • 秋葉原駅:3人/10〜数十秒

関東地方でのデータは7月の3連休でのデータとは言え、あまりと言えばあまりの差ではないだろうか。ハッキリ言って富山ではすれ違うことが不可能に等しい絶望感が漂っている。

ちなみに富山のショッピングモールにはトイザらスも存在しており、このトイザらスの中も歩いているのだが誰もいないのだ。

ちなみにこの後、富山でも穴場を発見した。それはポケモン映画である。アルセウスの配布を行っているためにNINTENDO DSの所持率が異常に高く、かなりの確率ですれ違いを行うことが出来る。

顕在化する地域間格差

この問題は実はドラゴンクエストIXに特有の問題ではない。かつてnintendogsが発売されたときにも同様の「すれ違えない」と言う声は上がっていた。

ではデータで見てみよう。

人口

  • 日本国:12776万人
  • 東京都:1257万人(9.8%) – 内23区内:879万人(6.9%)
  • 富山県:111万人(0.86%)

DQ9購入推定人数

  • 日本国:300万人
  • 東京都:29.4万人 – 内23区内:20.7万人
  • 富山県:2.6万人

日本と東京、富山の人口は2005年の国勢調査によるもの。23区の人口は21年5月の推計人口。DQ9は出荷300万本から算出。

ちなみにこの計算式に通称3万台と言われる64DDを当てはめると東京23区市外局番03の64DDは2940台。富山県に至っては254台である……東京以外にAPが無かったのも当然と言える。

何というかこの時点で相当絶望的な物を感じてきたが、人口密度を出してみたい。

面積

  • 23区:621km^2
  • 富山県:4247km^2

人口密度

  • 23区:14154人/km^2
  • 富山県:261人/km^2

購入者が東京23区に対して18万人程度少なく、さらに50倍以上人口密度が少ないのだ。オーバー気味に富山県の半分は山岳地帯だとしても、25倍である。

細かい計算を抜きにして単純に所有数1/4と人口の密度の25倍をかけるとするならば100倍の差が生じていることになる。

分かりやすいように人口密度から更に1km^2毎にDQ9を持っている人数を出すと……

人口密度/42(人口/DQ9購入推定人数)

  • 23区:337人/km^2
  • 富山県:6.2人/km^2

つまり、富山県では1km^2を歩き回ってもDQ9を持っている人間は6人しかいない。10人に1人がすれ違い通信していると仮定した場合でも上手く行って1人とすれ違いが可能、下手すると1人もいない。

同じ条件下で東京23区内では33人とすれ違える事を考えると、地方間の格差は一目瞭然である。

現実への拡張が格差を生む

かつてゲームというのは基本的にアンリアル、仮想空間での出来事であった。だからこそ地域間の格差は生まれ得なかった。

しかし通信、しかも友達との通信ではなく不特定多数の人間との人間というゲームの現実への拡張が生まれたことで地域間の格差が生まれてしまった。

ところで、300万本ソフトでコレなのだから、すれ違い通信というのは基本的に機能しない機能と言っても差し支えないと言える。

どちらかというならイベント用の機能とも言えるものだが、NINTENDO DS発売以降、任天堂が行ったユーザーイベントは2006年のWii体験会しかない。

とはいえ、イベントも東京、大阪、名古屋の都市圏ぐらいでしか開かれないのだからその意味では地域間格差は全く解消されていないと言える。

そう考えるならすれ違いを有効に使うならDS STATIONにすれ違い機能を搭載すべきではないだろうかと考える。確か昔nintendogsの頃に東京でそんなことをやっていた記憶はあるのだが……

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